お掃除テクニック

長押を知っていますか?| 長押の歴史とお掃除方法

【長押】皆さんは何と読みましたか?
これは【長押(なげし)】と読みます。

この長押とは、和室に使われていて窓の上にある木の装飾のことを言います。
最近では和室のないおうちも増えてきましたが、昔ながらのおうちや和室が好きで、リフォームをしても長押はそのまま残すという方もいますよね。
今回はそんな長押のお掃除方法についてご紹介します。

長押とは?

そもそもこの長押とは何なのでしょうか?
長押とは柱と柱を水平に結ぶための化粧材のことです。

もともとは柱を連結するための重要な構築材料として使われていたそうですが、細かい装飾を施されることもあり、昔は奈良時代以降の寺院や、位の高い貴族たちの建築に使用されていて建物の格付けの意味もあったようです。

その後、庶民の建物にも使用されるようになっていき様々な建物に応用されていきました。
今では和室だけではなく洋室にも長押の工法が利用されていることがあるほど、昔から現在に至るまで長い歴史があるものになります。

長押は、取り付けられる場所によって呼び方が変わります。
天井のふちに沿ってつけられた長押を【天井長押】、その下の蟻壁部分に取り付けられているのが【蟻壁長押】、ふすまや障子などの開口上部にある長押を【内法長押】といい、今回お掃除方法をご紹介するのは【内法長押】のお掃除方法になります。

今回紹介する「内法長押」ですが、もっとわかりやすく身近な物で言うと、お洗濯物を干すときに使うピンチハンガーに、物干しざおにつけるフックとは別に長押を利用して洗濯物を干す事が出来るフックがつけられているのをご存じですか?

意外とピンチハンガーだけではなく一度にたくさんのお洋服を干せるハンガーにもつけられているのでチェックしてみてください。

長押がある意味とは?

それでは、長押の意味とは何でしょうか。
上記で説明した、柱と柱をつなぐため以外にも長押が和室に必要な理由がいくつかあるのでご紹介します。

  1. 装飾的な役
    長押は単なる構造部材にとどまらず、装飾品としても機能しています。
    特に神社や寺院などの建築では、長押には彫刻や彩色が施され、建物全体の美しさを引き立ててくれます。
    また、一般住宅でも、長押があることで和室の雰囲気を高めることができます。
  2. 空間の区分
    長押は空間を視覚的に区分する役割もあります。
    例えば、床の間と他の部分を区別するために使われることがあり、部屋の中での機能や用途を明確にすることができます。
  3. 歴史的・文化的な意味
    長押は日本の伝統建築の一部として、歴史的・文化的な価値があります。
    古くから受け継がれてきた建築技術の一端を示しており、これを見ることでその建物が持つ歴史や文化を感じ取ることができます。
  4. 実用的な用途
    長押は、時には実用的な用途も持ちます。
    例えば、和室の家具を固定するための支えとして利用されたり、物を掛けるためのフックを取り付ける場所としても使われることがあります。

このように、装飾品としてだけではなく様々な用途があることがわかりましたね。

長押にたまりやすい汚れとは?

そんな長い歴史や様々な用途がある長押にたまりやすい汚れとはどんなものなのでしょうか?

  1. 水平な面
    水平に設置されるため、埃やごみが自然にたまりやすいです。
    特に建物の内部であれば、空気中の埃が積もりやすくなります。
  2. 手が届きにくい位置
    長押は通常、天井に近い高さに設置されるため、日常の掃除では見落とされがちです。このため、定期的な掃除が必要です。
  3. 装飾的な部分
    長押には装飾が施されることが多く、その細かい部分にもホコリがたまりやすいです。
    特に、彫刻などがある場合は、細部にごみが入り込みやすくなります。

普段脚立などを使って上から見てみないとわからないことが多いので、埃がたまりやすく、お掃除の観点からしてみると盲点になりやすい場所でもあります。

長押のお掃除を始める前に

長押のお掃除を始める前にいくつか注意点があるので確認しておきましょう。

安全確保

  1. 脚立やはしごの安定性
    脚立やはしごを使用する際は、安定した場所に設置し、転倒しないように注意しましょう。
    特に高い場所での作業になるため、周囲に人がいないか確認し、安全に作業できる環境を整えます。

道具の選択

  1. 柔らかいダスターや布
    長押の表面を傷つけないように、柔らかいダスターや布を使用します。
    硬いブラシや粗い布を使用すると、木材に傷がつく可能性があります。
  2. 掃除機のブラシアタッチメント
    掃除機を使用する際は、ブラシアタッチメントを使用して表面をやさしく吸い取ります。

清掃方法

  1. 力を入れすぎない
    掃除する際に力を入れすぎると、長押の表面が傷ついたり、装飾部分が破損することがあります。
    やさしく掃除を行いましょう。
  2. 濡れ布巾の水分量
    濡れ布巾はしっかりと絞ってから使用します。
    布巾が濡れすぎていると、木材に水分が染み込み、カビや変色の原因になることがあります。

装飾部分の取り扱い

  1. 彫刻や装飾部分の掃除
    彫刻や装飾が施されている部分は特にデリケートです。
    細かい部分にごみが溜まりやすいため、やさしくブラシや掃除機を使って清掃します。

化学薬品の使用

  1. 化学薬品の注意
    洗剤やクリーナーなどの化学薬品は使用しないほうが良いです。
    木材や装飾を傷める可能性があるので避けましょう。

早速長押のお掃除をしてみよう

注意点などがわかってきたところで、早速お掃除をしてみましょう。
埃が舞う事が予想されるので、対策として眼鏡やマスクを着用することをお勧めします。

【準備するもの】
・脚立やはしご
・柔らかいダスター
・掃除機(ブラシのアタッチメントを付けて)
・濡れ布巾(硬く絞ったもの)
・乾いた布巾

掃除の手順

  1. 準備
    脚立やはしごを使って、安全に長押に手が届くように準備します。
    お手伝いできる方が居れば、脚立やはしごを支えてもらって、安全に作業できるよう安定した場所で行いましょう。
  2. ほこり取り
    柔らかいダスターで長押の表面のほこりを軽く払います。
    ダスターを使うことで、表面のほこりを簡単に取り除くことができます。
  3. 掃除機
    掃除機のブラシアタッチメントを使って、細かいほこりやごみを吸い取ります。
    特に装飾のある部分や彫刻部分に溜まったごみをしっかりと吸い取りましょう。
  4. 濡れ布巾で拭く
    硬く絞った濡れ布巾で、長押の表面を丁寧に拭き取ります。
    これにより、ほこりやごみがしっかりと取り除かれ、表面がきれいになります。
  5. 乾いた布巾で仕上げ
    濡れ布巾で拭いた後は、乾いた布巾でしっかりと水分を拭き取ります。
    これにより、長押が乾燥し、カビや劣化を防ぐことができます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
日本の建造物の一つとして長い歴史を持つ長押。
意外とお掃除する場所としては見落としがちな部分になるのでこれを機に是非お掃除してみてはいかがでしょうか?

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